音楽と演劇の年賀状展とはAbout

誰も見たことがない表現、
最前線のトレンド、
社会に強く訴えかけるメッセージ、
そんなものがここにあるかどうかはわかりません。

でも確実に言えることは、
今年も来年も再来年も
「あけましておめでとう、今年もよろしくね」
と言える世界であってほしいし、
こんなのんきな展覧会が催される世界であってほしい。

そう思いながら、10年目も、
今までどおりの “お正月” を迎えられるよう、
同じことを、同じように、続けていこうと思います。

これは、昨年『音楽と演劇の年賀状展10』に向けて僕が書いたものです。
それから一年、新型コロナウイルス感染症の影響で、
2021年は “今までどおりのお正月” ではなくなってしまいました。

同じことを、同じように続けること。
このシンプルなことがいちばんむずかしいとは知っていたけど、
ここまで痛感する1年になるとは思いませんでした。

年賀状は決まったフォーマットで、
誰もが一度は書いたことがあるものだからこそ、
その人の個性がにじみでてしまう。
展示される作品の中には、
かっこいいデザインの年賀状もあれば、
お世辞にも達筆とは言えないけど愛らしい手書き文字の年賀状もある。
結婚や出産を報告したり、既製品のはがきを使った
いわゆる “ふつうの” 年賀状があってもいい。

年賀状を見れば、はがきの向こうに
どうしたってにじみでてしまう「人」の姿が見える。
“ミュージシャンや役者さんからの年賀状” ではあるけれど、
年賀状を通して見える、
いち個人としての「人」の姿が何よりおもしろい。

そう思ってこの企画を10年以上続けてきて、
そのおもしろさへの視点は今も変わっていません。
ただ、確実に変わってしまったのは、
そんな素朴な楽しみさえ奪われかねない時代になってしまったこと。

こんなのんきな展覧会を、
今やってる場合なんだろうか。やるべきなんだろうか。
刻一刻と変わり続ける情勢を前に悶々としながら、
いつも参加してくださっている出展者さんに
「今年も年賀状展をやりたいと思ってるんですが…」
とお声がけすると、返ってきたのは
「やるんですね!ありがとうございます!」という声でした。
いやいや、ありがとうって言いたいのはこっちのほうなんですけど。

こんな “のんきな展覧会” みたいな場を待ってくれてる人が、
もしかしたらいるのかもしれない。
そこで初めて、やってもいいかもしれない、
いやむしろ今だからこそこういう場が必要なのかも?と思えました。

もちろん、一度にたくさん人を集めるようなイベントはできません。
できるかぎりの感染症対策をほどこし、
例年のような全国各地への巡回もできませんが、
そのかわりに この状況を逆手にとって、
初めての試みにいろいろと挑戦してみようと思います。

来場できないお客様とZOOMで繋ぎ、
僕が展示会場をご案内する「リモート年賀状展ツアー」。

展示会場で起こる事件のなぞを解き、
お子さんも楽しめる「オンラインなぞときゲーム」。

そして、これまで巡回でお世話になった
全国のお店の一角をお借りして、
年賀状が見られる「ミニ年賀状展」もやります。

今までどおりではないけれど、せめて
「あけましておめでとう、今年もよろしくね」
と言えるお正月を、
音楽と演劇の年賀状展は続けていこうと思います。

『音楽と演劇の年賀状展11』、はじまります。

音楽と演劇の年賀状展
代表 山口良太




Photo: kozo kaneda

山口良太
1983年大阪生まれ。デザイン事務所勤務を経て、2012年よりフリーのアートディレクター/グラフィックデザイナー。“見慣れないものごとをわかりやすく、身近に。そしてたのしい気分になること” を大事に、「ストレンジシード静岡」、神戸アートビレッジセンター「KAVC FLAG COMPANY」、伊丹アイホール「現代演劇レトロスペクティヴ」など、地域に根ざした演劇の宣伝デザインを中心に活動している。音楽家や俳優から届いた年賀状を展示する企画『音楽と演劇の年賀状展』を企画・運営している。ごはんをおいしくたべる。

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イラスト:小山健(2012〜)


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